米国の将来に投資するならVTIを買うという選択があります。
この記事では、そんなVTIの特徴と類似商品との違いを解説していきます。
目次
VTIとは
VTIとは、バンガード・トータル・ストック・マーケットETFという投資商品です。
ものすごく簡単に言うと、VTIを買うことで米国市場全体の企業に投資できます。
ETFとは
VTIは、ETFという商品の1つです。
ETFとは何かと言うと、上場投資信託といって、投資信託を株式市場で売買できる株みたいなものです。
株は通常、企業が発行して証券取引所に上場することで売買することができるようになります。
株を買うことで企業に投資することができ、企業が成長して株価が上がれば利益が出ます。
反対に企業が業績不振などで株価が下がってしまうと損失が出てしまいます。
市場や業界について勉強し、企業分析をすることで将来的に株価が上がるかある程度予想することができますが、予想が外れしまうこともあります。
そのため、1社だけに集中投資をするのではなく、投資先を分散させる分散投資が推奨されます。
ETFは、複数銘柄の平均値(指数)が価格になり、その価格で売買が行われます。
たとえば構成銘柄のうち1つの企業の株価が暴落した場合、ETFの価格に影響することはありますが、同じだけ暴落することはありません。
逆に構成銘柄のうち1つの企業の株価が高騰しても、ETFの価格が同じだけ上がることはありません。
株や債券のパック売りのようなもので、投資先が分散されているため、個別株に集中投資するよりもローリスクなのです。その分リターンも小さくなりますが。
投資信託は、毎日価格が1つに決定し、販売会社を通じて口数を指定して買いますが、ETFは株と同じように株式市場が開いている間は価格が変動し、自由に売買することができます。
ETFは、投資信託と異なり、直接買い付けることができるため信託報酬がかかりません。経費率といってETFを運用している会社に対して手数料が発生しますが、トータルの手数料はETFの方が安く済むのです。
有名な米国ETF販売会社
ETFは、様々な会社が運用していますが、有名な米国ETFの運用会社は3つあります。
- バンガード
- ブラックロック
- ステートストリート
この3社は特に低コストで人気があります。
VTIは、バンガード社が運用するバンガードETFの1つです。
バンガード社は、他にもVOO(バンガード・S&P500)やVYM(バンガード・米国高配当株式ETF)など多くのETFを運用しています。
ブラックロック社はiシェアーズ、ステートストリート社はSPDRというETFが有名です。
バンガード社のETFは、低コストで人気の3社の中でも特に超低コストです。
VTIの特徴
ETFは、商品ごとに投資方針を決めています。
VTIの投資方針は、以下の通りです。
投資アプローチ
- CRSP USトータル・マーケット・インデックスのパフォーマンスへの連動を
目指します。- グロースおよびバリュースタイルに分散した大型株、中型株および小型株への
エクスポージャーを提供します。- インデックス・サンプリング法を用いたパッシブ運用です。
- ファンドはフルインベストメントを維持します。
- 低経費によってトラッキングエラーを最小限に抑えます。
VTIファクトシートより引用
CRSP USトータル・マーケット・インデックスとは
CRSP USトータル・マーケット・インデックスは、米国の株式市場に上場する大型・中型・小型株式、約4,000銘柄から構成される時価総額加重平均型の株価指数です。
これは米国株式時価総額のほぼ100%をカバーします。
米国の株価指数には、NYダウやS&P500などがありますが、これらは大型株や中型株のみで構成されていて、小型株を含みません。
一方でCRSP USトータル・マーケット・インデックスは、大型株、中型株だけではなく小型株も含んでおり、より分散されていることが分かります。
VTIは、このCRSP USトータル・マーケット・インデックスの値動きに連動するようにバンガード社が運用します。
冒頭で米国市場全体に投資するならVTIと言いましたが、VTIが米国株式時価総額のほぼ100%をカバーするCRSP USトータル・マーケット・インデックスのパフォーマンスへの連動を目指すETFであるためなのです。
経費率0.03%の超低コスト
さらにVTIは、経費率が0.03%と非常に低コストです。
VTIの構成銘柄
VTIは、約4,000銘柄から構成されている指数ですが、時価総額による加重平均なので時価総額が大きい企業ほどVTIを構成する割合が高いのです。
VTIを構成する上位10銘柄は下表の通りです。
No. | 銘柄 | 総資産総額に占める割合(%) |
1 | マイクロソフト | 3.5 |
2 | アップル | 2.8 |
3 | アマゾン | 2.7 |
4 | アルファベット(Google) | 2.2 |
5 | フェイスブック | 1.6 |
6 | バークシャー・ハサウェイ | 1.4 |
7 | ジョンソン・エンド・ジョンソン | 1.3 |
8 | JPモルガン | 1.2 |
9 | エクソンモービル | 1.1 |
10 | VISA | 1.0 |
純資産総額に占める上位10銘柄の割合 | 18.8 |
VTIのセクター別構成比率
VTIのセクター別構成比率を見てみると、テクノロジーと金融で40%を占めています。
VTIに投資するということは、米国市場全体に投資することを意味しますが、さらにテクノロジーや金融に対して投資していることも意味します。
VTIのパフォーマンスは?
バンガード社が公開しているVTIのファクトシートを確認することで、VTIに投資していたらどのくらいの収益が上がったかが分かります。(数値は平均の年次リターンです)
設定来の列を見てみると、VTIのリターンが平均で年7.25%となっています。
合成トータル・ストック・マーケット・インデックスが連動目標となる数値です。
利回り年7.27%目標に対し、7.25%を達成しているためバンガード社のVIT運用が非常に優秀だということが分かります。
2001年5月からリーマンショックも経験し、18年間の平均リターンが年7.25%がどのくらいのパフォーマンスだったのか見てみます。
2001年5月から18年間1万円ずつVTIに積み立てていた場合、元本216万円に対してトータル資産が440万円以上になっていたことになります。
S&P500指数連動ETF(VOO)との違い
バンガードETFには、VTIの他にS&P500指数に連動するパフォーマンスを目指すVOO(バンガード・S&P500 ETF)と言うETFがあります。
VOOの投資アプローチ
- S&P500指数のパフォーマンスへの連動を目指します。
- 大型株を投資対象とします。
- 完全法を用いたパッシブ運用です。
- ファンドはフルインベストメントを維持します。
- 低経費によってトラッキングエラーを最小限に抑えます。
引用:VOOのファクトシート
S&P500指数のパフォーマンスへの連動を目指していることは、投資アプローチではっきりと明言されています。
また、VOOはVTIと違い大型株のみのポートフォリオです。
経費率はVTIと同じ0.03%と超低コストです。
構成銘柄比較
VTIとVOOの構成銘柄を総資産総額に占める割合(%)で比較してみます。
No. | 銘柄 | VTI | VOO |
1 | マイクロソフト | 3.5 | 4.2 |
2 | アップル | 2.8 | 3.5 |
3 | アマゾン | 2.7 | 3.2 |
4 | アルファベット(Google) | 2.2 | 2.7 |
5 | フェイスブック | 1.6 | 1.9 |
6 | バークシャー・ハサウェイ | 1.4 | 1.7 |
7 | ジョンソン・エンド・ジョンソン | 1.3 | 1.5 |
8 | JPモルガン | 1.2 | 1.5 |
9 | エクソンモービル | 1.1 | 1.3 |
10 | VISA | 1.0 | 1.2 |
純資産総額に占める上位10銘柄の割合 | 18.8 | 22.7 |
VOOの上位10銘柄もVITと変わりませんが、VTIよりも比率が高く25%近くになっており、より上位10銘柄の株価の影響が強く出る構成です。
VOOのセクター別構成比率
VOOもVTIと同様にテクノロジーや金融の比率が高いです。
VOOのパフォーマンス比較
VOOのパフォーマンスは、設定来14.23%と非常に高い成績を残しています。
比較できる期間で最長が5年間ですので5年間のパフォーマンスで比較してみると下表の通りです。
VTI | VOO | |
ETFリターン | 10.18% | 10.67% |
目標指数 | 10.18% | 10.71% |
VTIもVOOもほとんど変わらず非常に高いパフォーマンスだということが分かります。
VTIはどこで買えるのか
VTIやVOOなどの海外ETFは、外国株式と同じように買うことができます。
VTIを買うには、証券口座を開設して外国株式の取引ができるように準備する必要があります。
外国株式が取引できる証券口座であればどこでも良いですが、楽天ポイントでも投資することができる楽天証券がおすすめです。
VTIを含む海外ETFを購入する時は、円ではなくドルで購入するため外国株式と同様に為替手数料がかかります。
手持ちの円をドルに変えて購入し、売却するときはドルで売却し円に戻すので、ETF自体の価値が変わらなくても為替変動により価値が変わるので為替にも注意する必要があります。
まとめ
VTIの特徴をまとめると次の通りです。
- CRSP USトータル・マーケット・インデックスへの連動を目指し、米国市場全体に投資できる
- 経費率0.03%という低コスト
- 設定来、平均利回り年7.25%の高パフォーマンス
- 米国株式と同じように証券口座で取引できる
- 為替手数料がかかり為替変動リスクがある
将来的に米国市場が成長し、為替も円安に進むことが期待できるのであれば、VTIは非常に高い収益を出してくれます。
また、多くのサラリーマンは日本円や日本株、日本の投資信託のみを保有しているため、米国に資産を分散させると言う意味でVTIに投資するのは非常に良い選択です。
楽天証券でVTIを買うことで、米国市場全体への分散投資をすることができますよ。
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