この記事では、メットライフ生命のドルスマートをオススメしない理由を、実際の契約内容を見ながら解説します。
その上で、どうするべきかシミュレーションしていきます。
以前もドルスマートの概要とデメリットを説明した記事を書きましたが、より具体的にオススメしない理由が分かります。
目次
ドルスマートの契約内容
生命保険を契約する時は、保険設計書と言って、設定した保障額や保険料を元に、万が一の時の保障内容や将来の保障額や返戻金を記載した資料を作って、保障内容に十分に納得した上で契約します。
保険設計書兼契約概要によると、ドルスマートの目的は3つあります。
- 死亡に備えての保障
- 教育・老後の資金準備
- 資産の運用
保険契約書兼契約概要を1ページめくってみると、「保険設計書」として保険料や払込期間など、具体的な保険の設計内容が記載されています。
保険設計書によると、ドルスマートの契約内容は以下の通りでした。
商品名 | 積立利率変動型終身保険(米国通貨建 2002) 低解約返戻金特則(期間:10年) |
保険金額 | 220,000米ドル(= 23,760,000円) |
保険期間 | 終身 |
払込期間 | 10年 |
月額保険料 | 747,78米ドル(= 80,760円) |
※為替レートは1ドル108円で計算しています。
今思うと本当に考えられないのですが、外貨建て保険に毎月8万円も保険料を支払っていました。
ドルスマートの払込期間をなぜ10年にしたのか
貯蓄型保険を選んだ時は、「保険と子供の教育資金の準備で一石二鳥」だと思っていました。
子供のためのまとまった教育資金は10年後には必要になると考えて、払込期間を10年にしてしまったのです。
ドルスマートの積立利率3%最低保証の罠
こちらが、保険設計書に記載されている、保険内容の推移です。平たく言えばシミュレーションです。
「積立利率3%最低保証」というのは嘘ではありません。
保険会社としてお客様から預かったお金はしっかりと運用され、積立利率3%最低保証を約束しています。
なので保険の販売員は、「積立利率3%最低保証なんですよー」と強調して言ってくるのですが、そもそも、
払い込んだ保険料 ≠ 保険会社が預かって運用するお金
なのです。
保険設計書兼契約概要の記載をご覧ください。
契約概要に「諸費用」の記載があります。
費用を控除した金額が、積立金として将来の保険金などのお支払に備えて積み立てられます。
積立金がそのまま積立利率で運用されるものではありません。
純保険料と付加保険料は、こんなイメージです。
純保険料と付加保険料の割合を公開しているのは、2019年11月時点で、ライフネット生命のみでした。
純保険料と付加保険料については、こちらの記事で詳しく解説しています。
あなたが支払った保険料のうち、積立利率3%最低保証で運用されるのは、純保険料の部分だけで、あとは保険会社の利益になる構造です。払い込んだ保険料うち何割が純保険料なのかは企業秘密です。
ドルスマートを1年で解約した理由
メットライフ生命のドルスマートを解約したのは、契約してからたった1年経過したところでした。
保険を解約すると解約返戻金として積み立てたお金が戻ってくるのですが、ドルスマートをはじめとした貯蓄型保険は、途中で解約しても積み立てた元本がそのまま返ってくるわけではありません。
保険設計書兼契約概要に、解約返戻金に関する記載があります。
ご契約から10年以内かつ保険料払込期間中に解約・減額されたときの解約返戻金は、経過期間に応じた所定の金額を積立金から控除した額になります。
毎月保険料を払うということは、一部が積み立てられるわけではなく付加保険料として無くなっていくので、自分の資産を目減りさせていくことに他ならないのです。
積立利率3%というのは、満期までの期間においては保険会社に付加保険料として支払った手数料を取り戻す運用と言っても過言ではないのです。
保険設計書兼契約概要には、ドルスマートの積立金運用予定表が記載されています。
1年分払い込みをした後に解約したので、約70万円の損失が確定してしまいました。
払込保険料 | 8,973.36米ドル(約969,122円) |
解約返戻金(年3.0%) | 2,557.82米ドル(約276,244円) |
返戻率(年3.0%) | 28.5% |
※為替レートは1ドル108円で計算しています。
実際にメットライフ生命が公開しているドルスマートの積立利率を見てください。
この通り、2019年11月の積立利率は3.12%です。
過去の積立利率も見てみましょう。
過去には積立利率が4%台だったこともありますが、現在は最低保証されている3%程度しか見込めないことが積立利率の推移を見れば明らかです。
ドルスマート解約の損失を投資で回収できるのか
まず、満期となる10年後の返戻率を確認してみると、まさかの90%と満期ですら元本割れしていることが分かります。
ドルスマートは、保険料を11年間払い続けてやっと2%ほど増えて戻ってきます。
毎月8万円を10年間、年利3.0%で運用するといくらになるか、楽天証券の積立かんたんシミュレーションで見てみましょう。
ドルスマート | インデックス投資(年利3%) | |
毎月支出額 | 747,78米ドル (約 80,760円) |
80,000円 |
積立期間 | 10年 | 10年 |
達成時点 | 11年後 | 10年後 |
積立総額 | 89,733.60米ドル (約 9,691,228円) |
9,600,000円 |
資産総額 | 91,475.32米ドル (約 9,879,334円) |
11,179,314円 |
収益率 | 1.94% | 16.45% |
※為替レートは1ドル108円で計算しています。
お金を増やしたいなら貯蓄型保険は損してでも今すぐ解約して、インデックス投資をしよう。
ドルスマートよりも賢い選択とは?
貯蓄型保険ドルスマートの3つの目的をもう一度見てみましょう。
- 死亡に備えての保障
- 教育・老後の資金準備
- 資産の運用
まず1つ目の「①死亡に備えての保障」は、掛け捨て保険で達成できます。
掛け捨て生命保険は、価格.com保険で安いものを選べば良いです。
価格.com生命保険によると、ライフネット生命が一番お得のようです。
ライフネット生命で保険料をシミュレーションしてみます。
なお、価格.com生命保険のランキング2位のアクサダイレクト生命や3位のオリックス生命でも同様にシミュレーションしてみると、1位よりも安いことがあるので、3位くらいまではシミュレーションしてみることをオススメします。
今回の条件の場合、オリックス生命が最も安く毎月の保険料は2,908円でした。
- 死亡に備えての保障
- 教育・老後の資金準備
- 資産の運用
「②教育・老後の資金準備」と「③資産の運用」は、貯金をしたり分散投資をすることで目的を達成できます。
「10年後の子供の教育資金」ということを考えると、最初は資産運用で増やし、途中から貯金の割合を徐々に増やしていくことで、暴落による資金の元本割れを防ぐようにすれば良いです。
利回りは保守的に2%でシミュレーションしてみます。
ドルスマート | 掛け捨て保険 + 貯金 |
掛け捨て保険 + 投資信託 (利回り2%) |
|
毎月支払額 | 80,760円 | 生命保険:2,900円 貯金:77,100円 |
生命保険:2,900円 投資信託:77,100円 |
10年間総支出額 | 9,691,200円 | 9,600,000円 | 9,600,000円 |
死亡保障 | 23,760,000円 | 24,000,000円 | 24,000,000円 |
10年後資産総額 | 8,738,257円 | 9,252,000円 | 10,232,686円 |
損益額 | -952,943円 | -348,000円 | +632,686円 |
利益率 | 90.1% | 96.4% | 106.6% |
※為替レートは1ドル108円で計算しています。
賢い選択は、掛け捨て生命保険と貯金または投資の組み合わせです。
リスクを取りたくないのであれば貯金の割合を高くすれば良いですし、リスクを取ってお金を増やしたいのであれば、投資の割合を増やせば良いです。
ドルスマートは、外貨建てで為替リスクもあるので、円貨建保険に契約している人よりもリスクを取ってお金を大きく増やしたい人が多いと思います。
そのような人であれば、貯金よりも投資の割合を増やせば良いわけです。
リスク許容度に応じて貯金と投資の割合を決めよう。貯蓄型保険は論外。
保険は保険、投資は投資で分けて考えよう
メットライフ生命の米ドル建保険「ドルスマート」は、全くオススメできません。
目的とリスク許容度に応じて、掛け捨て保険、貯金、投資を分けて考えましょう。
- 死亡に備えての保障 → 掛け捨て保険
- 教育・老後の資金準備 →貯金・投資
- 資産の運用 →投資
生命保険は原則不要ですが、あなたに万が一のことがあった場合に遺された人が生活できなくなってしまうのであれば、いくらあれば生活できるのかを計算した上で、その分の保険金が支払われる掛け捨て保険に入りましょう。
教育や老後の資金など、将来確実に使うことが分かっているお金は、貯金や投資で準備するべきです。
使い始めるまでの期間が短ければ貯金で準備をしましょう。
長ければ投資で準備をすることもできます。
最初は投資をして、使い始める時期が迫ってくるに従って貯金の割合を多くしていくと良いでしょう。
初心者が資産の運用をするのであれば、インデックス投資がオススメです。
投資の神様ウォーレン・バフェットも推奨しているS&P500に連動する投資信託に投資するのが良いでしょう。
つみたてNISAも活用すれば、よりお得に資産運用ができます。