サラリーマンが毎年1月に会社から受け取る源泉徴収票。
あなたはちゃんと源泉徴収票に目を通していますか。
この記事では、源泉徴収票の正しい見方について説明します。
サラリーマンでも源泉徴収票をちゃんと見ることで、納税意識を高めていきましょう。
源泉徴収票は、「給与所得の源泉徴収票」「退職所得の源泉徴収票」「公的年金等の源泉徴収票」の3種類がありますが、ここでは「給与所得の源泉徴収票」について解説していきます。
目次
なぜ源泉徴収票の見方を理解する必要があるのか
サラリーマンは、自分が稼いだお金のうち、結構な金額を税金として納めているにも関わらず、納税しているという意識を持った人が多くないのです。
それもそのはず、自分自身で納税の手続きをしているわけではなく、源泉徴収という形で会社があなたに代わって給与から勝手に納税してくれているので、手続きの観点からは気にする必要がないのです。
ですが、たとえば課税所得が330万円〜695万円のサラリーマンは、自分が稼いだ給料の5分の1の税金が知らないうちに支払われています。
平日5日間のうち1日は納税のために働いているようなものです。
課税所得がもっと高くなればさらに税率は上がります。
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自分が納めている税金をコントロールすることでお金を効率的に貯めることができる体質になります。
事業所得や不動産所得を得ることなどによって、サラリーマンでも節税が可能になるのですが、自分の納税額の大きさに危機感を抱かなければ、いつまでも他人事になってしまいます。
そのために、効果的なのが源泉徴収票で、あなたの実際の納税額をチェックすることなのです。
源泉徴収票はいつ発行されるのか
源泉徴収票は毎年1月に会社からあなた宛に発行されます。
前年の1月から12月までの給与をもとに、まず12月に年末調整を行います。
払いすぎた税金をあなたに戻したり、足りない分を請求されるのです。
年末調整が終わった後、会社は1月31日までに源泉徴収票を発行することになっています。
源泉徴収票で確認できること
源泉徴収票でチェックすべき「支払金額」「給与所得控除後の金額」「所得控除の額の合計額」「源泉徴収税額」の4種類の金額についてしっかりと理解しましょう。
金額項目を順番に見ていきます。
支払金額
「支払金額」は、1月から12月中に支払いの確定した給与の総額です。
給与所得控除後の金額
「給与所得控除後の金額」は、「支払金額」から給与所得控除額を差し引いた金額です。
たとえば個人事業主の場合、事業の種類によっては衣装代が必要経費として認められることがあります。
一方で、当たり前のようにスーツを着て仕事をしているサラリーマンですが、スーツ代は必要経費として認められることはありません。
それでは不公平なので、給与のうち一定金額を必要経費に使ったとみなして控除してあげようというのが給与所得控除にあたります。
給与所得控除の額は下の表の通り、年収によって異なります。
支払金額 | 給与所得控除額 |
180万円以下 | 収入金額×40% 65万円に満たない場合には65万円 |
180万円超〜360万円以下 | 収入金額×30% + 18万円 |
360万円超〜660万円以下 | 収入金額×20% + 54万円 |
660万円超〜1000万円以下 | 収入金額×10% + 120万円 |
1000万円超 | 220万円 |
「給与所得控除後の金額」は、「支払金額」から上の表で求めた給与所得控除額を差し引いた金額が記載されます。
11,477,769(支払金額) – 2,200,000(給与所得控除額) = 9,277,769(給与所得控除後の金額)
所得控除の額の合計額
「所得控除の額の合計額」は、年末調整した場合にのみ各種控除額の合計金額が記載されます。
「所得控除の額の合計額」は、社会保険料控除、小規模共済等掛金控除、生命保険料控除、地震保険料控除、障害者控除、寡婦(寡夫)控除、勤労学生控除、配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除、基礎控除の合計額です。
この金額から先ほどの「給与所得控除後の金額」を差し引くと、課税所得という所得税を計算するベースの金額が求められます。
0(配偶者特別控除の額) – 1,135,085(社会保険料等の金額) + 80,000(生命保険料の控除額) + 12,056(地震保険料の控除額) + 380,000(基礎控除額) = 1,607,141(所得控除の額の合計額)
源泉徴収税額
「源泉徴収税額」は、「給与所得控除後の金額」から「所得控除の額の合計」を差し引いた課税所得に対して所得税率を掛けて算出します。
所得税率は、課税所得の金額によって下の表の通り異なります。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円超〜330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円超〜695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円超〜900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円超〜1800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1800万円超〜4000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
まず、所得税を計算するベースとなる課税所得を求めます。
9,277,769(給与所得控除後の金額) – 1,607,141(所得控除の額の合計額) = 7,670,628(課税所得金額)
課税所得の金額に対して、上の表で所得税率を特定し計算します。
復興特別所得税とは
「東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法(平成23年法律117号)」の施行により、平成25年1月1日から平成49年12月31日までの間、所得税の源泉徴収の際に併せて復興特別所得税(源泉徴収される所得税額の2.1%)がかかります。
{7,670,628(課税所得金額) × 0.23(所得税率) – 636,000(控除額) – 333,400(住宅借入金等特別控除の額)} × 1.021(復興特別所得税の加算分) = 811,300(源泉徴収税額)
納税意識を持つことがお金を貯める第一歩
事業所得や不動産所得を得ることで、サラリーマンであっても節税することが可能です。
ですが、そもそも自分がいくら納税しているのかが分からなければ、節税の意識も湧いてこないでしょう。
今回の例では納税額が81万円程度だったように、節税する対象の金額を意識することで事業所得や不動産所得を得ようという気持ちが芽生えるのです。
効率的にお金を貯めていくためにも、源泉徴収票を読み解いて、納税意識を持つようにしましょう。